書評 レバレッジ時間術

書評 
レバレッジ時間術―ノーリスク・ハイリターンの成功原則 (幻冬舎新書)

2012/6 本田直之

○本書を読む目的
時間を効率的に使い、同じ時間でより多くの成果を上げられる仕組みを構築する。

○重要部分抜粋
1章 時間も投資で増やす時代
P21. 『忙しい』と言わない、をルールに
その忙しさは成功している経営者や一国の大統領より時間に追われているでしょうか。
世の中で成功を収めている人は、限られた時間の中で、いかに成果を出すかを突き詰めて追求している。だからブレイクスルーができる。これこそまさに時間に追われる『消費』ではなく『投資』です。
私の感覚だと、『忙しい』と感じる時、まだ10倍の仕事はこなせる。
『忙』という字は『心を亡くす』と書く。だからどんな状況でも『忙しい』とは口にしないことにしている。

P24. 面倒くさがり屋だから成功する
面倒なことが嫌なのでなんとか面倒ではない方法を考えようとする。だからいいアイデアが浮かぶ。

P28. 『週90時間労働』の何が間違いか?
週に90時間働いている、という管理職がいたら、わたしはこういう。『わたしは週末にはスキーに行くし、金曜日には仲間と連れ立ってパーティーにもでかける。君が同じようにできないなら、仕事のやり方が間違っているのだ。何に90時間かかっているのか20個書き出してみるといい。そのうちの10個は意味がないはずだ。』

P32. 時間資産は雪だるま式に増える
毎週5時間かかるルーチンワークは年間250時間を費やすが、週1時間でこなせば、年間50時間で済み、200時間が新たに生まれる。
時間を使って時間を増やす『時間を投資する』ことによって、『時間資産』をつくることができる。
しかも時間資産は大きな複利で雪だるま式に増えていきます。リスクもないのでこれほどの効率のいい投資はないと言えます。

P33. 何もしないでいるほうがリスク
具体的に『時間を投資する』とは『仕組みを作るために時間を使う』ということ。
仕組みを作るために10時間かかっても、年間100時間を生み出せれば元がとれる。複利で元本保証のため早くやれば早いほど良い。

P36. やりたいことの天引きをする
貯金をする際、収入の一定金額を最初に貯金する方法が天引き貯金の発想。余ったら貯金だとなかなか溜まらない。天引き貯金だと収入が増えたらその分を貯金に回すことができる。
『天引き』をするためには、そのことにどれだけ時間をかけるかを決めなくてはならない。『締切効果』が生まれてその時間内で成果を出すことを考えるようになる。時間の使い方が効率的になり時間密度が高まる。

P39. 増やした時間は『再投資』に回す
株の利益を食事などに使えばそれきり。株を買い増したり、他の銘柄に投資して運用していくことで利益を更に高めて行く。
時間も同様に増えた時間で新たな事業や仕組みを構築、更には自分を高める自己投資など、再投資に回すべき。

P48. ワークライフバランスをめぐる勘違い
ワークライフバランスは働く時間を短くしてプライベートの時間を増やせということではない。成果が減っては意味がない。短い時間で同じまたはそれ以上の成果を目指す。不労所得的な時間資産でプライベートの時間を増やすのがワークライフバランス

2章 成果はスケジューリングで決まる
レバレッジスケジューリングの柱は『俯瞰逆算スケジュール』『時間割』『タスクリスト』の3つ。

俯瞰逆算スケジュール
受動的なパッシブスケジュールは常に時間に追われている人のスケジューリング。手帳にあるのはアポやミーティング、仕事の締切など。予定が生じたらそれを手帳に書き込むスタイル。
(俯瞰逆算スケジュールのような)能動的なアクティブスケジュールは、多くの仕事量をこなして成果を上げつつ、プライベートを楽しみ余裕もある人たちのスケジューリング。
まず明確なゴールを設定する。○月○日までに○○をすると。だいたい3ヶ月先まで見通す。そしてカレンダーにゴールを書き込む。その上で目標達成のためにやらなければいけないことを何段階かのステップに割り振り、他の予定とのバランスを取りながらスケジュールに落とし込んで行く。
具体的には目標が売上アップなら目標数値クリアのためには何社からの注文が必要か、そのためには○日までに何社にアプローチする必要があるか、そのためにはどんなリストや資料が必要か、リストはいつまでに揃える必要があるかと考えていく。(☆システム開発の見積りやスケジューリングと同じ、これを個人レベルで行う)。今日、明日のすべきことはすべてゴールから逆算することで決まる。
(☆俯瞰逆算スケジューリングはワタミ会長の渡辺さん、GMOグループ代表の熊谷さんもやっており、成果至上主義で、なおかつ大量の仕事をこなしていく人にとっては不可欠な方法である。)

P66. 『課題』がなければ『成果』もない
課題と成果は表裏一体の関係。俯瞰逆算スケジューリングのすべては課題(ゴール)のクリア(達成)のために存在する。

P76. レバレッジ資格試験必勝法
短い限られた時間で試験に合格するために、知識のインプットや暗記に取り掛かる前に何をどの程度勉強したら良いかという勉強法の検討に十分な時間をかける。過去にどの分野からどのような出題があったかなど、研究する。時間がないのですぐにテキストを読み始めるよりも反対に勉強以外のゴールに向けての最短距離を探すことに時間を投資すれば、実際の勉強にかかる時間を効率化し、合格という大きな成果を上げることができます。

P82. 自己投資の時間である『インプット』の時間をまず天引きせよ
優先順位はインプット(自己投資)、アウトプット(仕事など)、日常生活、プライベートの順。プライベートを削るのではなく、時間を意識して無意識な時間を削る。ダラダラテレビを見たり、うたた寝など。プライベートの中身も何をするかを決めておく。

P83. 『時間割』を作れば頭も体も勝手に動く
大まかに30分〜1時間単位で一日の時間割を決めておく。自由にやるより、予めやることを、決めておけば無駄なことに頭も時間も割かなくて済む。できる人も生活をパターン化している。

P89. 毎朝の『タスクリスト』はゴールへの最短ルート
前述のカレンダーを見ながら俯瞰逆算で設定したゴールをクリアするために今日具体的にすべきことを落とし込む。(☆俯瞰逆算のため、ゴールに必要なものだけをやる。そうでなきものは捨てる)
このタスクリストはフォーマットなどなく、A4用紙に手書きでなぶり書き。前日のものに加えることも。終わったら線を引いて消していく。
基本的にタスクリストは全てが優先度A。そのためToDoリストのように優先度はつけてない。(☆タスクリストは必ずその日のうちにやるのがベスト)
タスクリストの他に備忘録リストもある。電球買うなど。思い出す時間を削減するため。(☆オムニフォーカス使う)

P94. 1枚のチェックリストの大きな効果
『仕組み化』の一環。セミナーなど年に何回も行うようなタスクに対して、毎回やることを考えるのは時間の無駄だし抜けが出る可能性が高くなる。そのため、事前に何をすべきかチェックリストを作る。そして、全部の工程をチェックしたらその仕事を終わりとする。このチェックリストをがあれば担当者が変わった場合の引継ぎも簡単。リストにはやるべきことと、それを何月何日までに済ませるかも開催日の日付から逆算して入れる。チェックリストを作るのは多大な時間がかかるが、一度作れば再現性を持たせることができ、そこで生まれた時間資産をセミナーを良くすることを考える時間にすれば付加価値が高まる。時間を再投資することで更に大きな成果を得られる。紙一枚だが投資効果絶大。

P97. 出張や旅行などの荷造りもチェックリストで効率化

P102. 『リマインダー』機能で組織の時間を効率化
物事の締切に対して、『今日が提出日』とリマインダーで対象者にメールすることで、忘れてた人は思い出す、依頼者は催促の手間が省ける。
(月報提出依頼などはリマインダー機能に登録することで、漏れや催促の手間がなくなる)

P110. 『習慣化』で集中力も高まる
時間割を作って一つ一つの行動に枠を設けることでその枠内で終わらせようとする。また、毎日こなしていると、人間は習慣化により、集中力が高まるし、無意識に苦労なく実施できる。

P111. 残業せずに仕事を仕上げる『仕組み』づくり
仕事の終わりの時間が決まってなければ、ダラダラと残業してしまう。私の場合は夜の会食アポを入れているので逆にその時間までに仕事を終えなくてはならない。このようにどんどん約束を入れていけば嫌でもそのタイムリミットに合わせて動かざるを得ない。これも一つの自己投資(会食)であると共に『時間割』を守って時間密度を高めるための『仕組み』でもある。また午前中ジムに行っているが、残タスクや体がだるいと『今日はやめておこうか』となりがち。そこでパーソナルトレーナーと約束することで、行かざるを得ない『仕組み』を作っている。

P139. 週末も平日と同じ時間に起きる
よい睡眠をとるポイントは週末もパターンをかえないこと。人間は寝だめができないため、寝坊は逆に体内時計のリズムを崩すデメリットがある。

P141. 暗記作業は寝る前にするのがベスト
暗記ものは夜にインプット、睡眠、朝に復習、というパターンが最も効率的でベスト。

P143. 休日はしないことを決めておく
私の場合は仕事をしない。ここでいう仕事はアポやミーティングなど自分都合で変えられない予定。休日は家族と過ごす時間と決めている。ただ、自分都合ではじめと終わりをコントロールできる本を読んだり原稿を書くのはやっている。これらは仕事ではなく自己投資と捉えている。

P146. モットーは『Doing More With Less』
少ない努力で大きな成果を。
常に考える。

P147. 10分の1で仕上げる方法を考えよ
小さな改善により、数分を節約してコツコツ時間短縮するのも大切だが、10分の1にするためにはやり方を根本的に改める必要あり。
もっと言えば、何かをバッサリ切り捨てないと不可能。

P148. 人に任せる は究極の効率化
『無駄なことはしない』『自分でやらない』ことは時間を縮めて成果を上げるための重要なポイント。

P150. 優秀な人の成果が頭打ちになる理由
優秀な人は自分でやる方が良いと考え人に任せられず、労働時間が永遠に減らない。
うまい人は必ずしも能力が高いわけではなく。できないことや不得意なことを、人に任せることができる。自分が得意なことは一生懸命やる。選択と集中

P151. 自分のKSFを見つけているか
成功要因のことをKey Success Factorという。『やらないこと』を選択する力とは『KSFを見つける力』と言える。受験で言えば『過去問を分析する』『合格点ねらい』で無駄なことをしない人が受かったりする。

P153. ビジネスも『過去問』と『合格点ねらい』で
ビジネスにおける過去問は過去の事業の成功例や失敗例、先輩や上司のやり方。また、80点の仕事を多くこなす。

P154. 意思決定は即座に
意思決定は即座に行う。即座に行えない場合は先延ばしにするのではなく、なぜできないのか?他にどのような情報があればできるのか?を分析する。

P179. エピローグ
すべてはハワイに住むことからの俯瞰逆算
起業スキルも資金も無い、英語もできない状態。でもギャップが明確だったからこそ何をすべきか見えてきた。外資系企業に就職し、英語のスキルを身につけた。また500万を貯めてアメリカのビジネススクールに行き、MBAを取得。
ビジネススクールでは原理原則を学べるため起業への道が大幅に短縮できた。また会社員時代、できる先輩の真似をしてそれをアレンジすることで成果を上げていった。時間短縮につながった。
ただし真似するなら自分に似たタイプを選ぶべき。

☆やること
•配当は株を買い増したり、他の銘柄に投資して運用していく。
•俯瞰逆算スケジューリングでまずゴールを設定し、そこからいつ何をするかをスケジューリングしていく。スパンは数ヶ月単位。このやり方は原理原則。
•どんなに忙しくてもまずは自己投資の時間を天引き(確保)する。
•一日のタスクリストは俯瞰逆算でゴールに必要なものだけをやる。それ以外のものはやらない。タスクリストはその日のうちに消化する。備忘録リストはオムニフォーカスを使う。
•ひとつひとつのタスクにおいて、チェックリストを作る。マニュアルの他にこれは必要。
•週末も平日と同じ時間に起きる
・意思決定は即座に行う。即座に行えない場合は先延ばしにするのではなく、なぜできないのか?他にどのような情報があればできるのか?を分析する。
・六時間以上は寝ない
・朝の通勤は座らずに本を読む