書評 伸びる会社には必ず理想のリーダーがいる

書評 
伸びる会社には必ず理想のリーダーがいる

2012/3 ジョン・C.マクスウェル

○本書を読む目的
 理想のリーダー像とは何かを知った上でそれに近づける為の方法を知る

○重要部分抜粋
P13 直近のメンバーが成否を握っている
 自分がメンバーの成長を支援しているか、そのための方策を持っているか
 実際に部下は成長しているかをじっくりと考えてみよう
P14 メンバーと人間らしい関係を築く
 仕事以外の場で接する機会を持てば、部下をさらに良く理解できる。
 職場では、誰もが壁をつくり、他社から求められる自分を演じようとする。
 しかしプライベートな場では、素顔を見ることができる。
P22 よいリーダーになることは、よい人間になること
 人間関係で悩むのは問題の原因が他人にあると考えるから
 しかし私たちはまず自らを顧み、欠点を改善しようとすることからはじめなければならない。
 批評家サミュエル・ジョンソンの言葉
 「自分を変えること以外の方法で幸福を求める人は、人生を無駄にする。その試みは徒労に終わり、いつまでも悩みが消え去ることはない」
P23 感情にしつけを
 感情に関する選択肢はふたつしかないー制御するか、振り回されるかだ。
 良いチームプレイヤーとは、感情を切り捨てる人のことではない。感情によって行動を妨げられたり、不要な行動に駆り立てられたりしないよう、コントロールできる人のことだ。
P30 ギブアップかゲットアップか
 「失敗する人たちの90%は、実際に成功する可能性がないわけではない。単に挑戦をやめてしまうのだ」
 うまくいかないことがあり、気をそがれるような経験をすると、人はそれに立ち向かおうとしなくなり、挑み続けることをやめてしまう。気持ちをくじかれたとき、あなたにはふたつの選択肢しかない-挑戦をやめるか、立ち上がるかだ。
P31 解決策を探す
 「解決志向のチームプレイヤー」になるための秘訣。
 ・あきらめないと誓う・・・とにかく解決策を見つけるまでは絶対にあきらめないと決意する
 ・問題をみつめなおす・・・徹底的に考え抜いても解決できないような問題は無い。だから、チーム名とと話し合う時間をたっぷり作ろう。その際、じっくり考えるのに最適な時間帯を選ぶ
 ・戦略を練りなおす・・・いつもの思考の枠から飛び出す。型にとらわれない。突飛なアイデアでも思いついたものはとにかく挙げてみる。
 ・このプロセスを何度も繰り返す・・・1度の試みで問題を解決できなくても、あきらめずに同じプロセスを繰り返す。解決しても別の問題に同じプロセスで取り組む。このプロセスを行う真の目的は、解決志向の態度を身につけ、常にその態度で問題にとりくめるようにすること。
P35 コロンブスに続け
 コロンブスの卵の逸話は、「批判することよりも、解決策を見いだすことのほうがはるかに難しい」と教えてくれる。単なる批判は何も解決してくれない。
P36 不安定なリーダーはいらない
 不安定なリーダーの特徴
 ・他人に安定を与えられない
 ・与えるより与えられようとする
 ・自分より優れた部下を牽制する
 ・組織の足を引っ張る
P39 鉄の信念を持つ
 偉大なリーダーは、人から批判をされても自らを信じているので反論などしない。自らを信じているので自分の長所と短所を知り尽くしたうえで、意見を主張する。信念を持つリーダーは優秀な人材を集め、その能力を見極め、最大の力を発揮させようとする。チームが最大のパフォーマンスを発揮することが、自分が成し遂げうる最高の成功と考える。

P54 他者を理解する
説得力のある話をしてしばしば犯してしまう過ちは、自分の意見や感情を伝えることがもっとも重要だと考えてしまうことである。相手が本当に欲しているのは、話を聞いてもらい、尊重され、理解されることだ。人は自分が理解されていると感じた時、相手の考えを知ろうとするものなのだ。
相手の考え方、感情、発想、行動パターン、問題への対処法を知ることができれば、相手のやる気を高め、影響を、与えられるようになる。

P55 自分を人に印象づけようとしない
自分をよく見せようとしてはいけない。うぬぼれが強くなり、やがて誰からもそっぽを向かれてしまう。過度なプライドはエゴであり、周りの人を騙して一時的につなぎとめておくことしかできない。必要なこは相手に感銘をあたえることではなく、相手の良さを認め、相手から感銘を受けることだ。
人を惹きつけるカリスマ性のある人とは、相手の視点に立てる人だ。好奇心を持って質問し、真剣に話を聞くからこそ、人は惹きつけられて行く。話題の中心になろうともせず、完璧な人間であると装ったりもしない。

P60 人の夢の実現を助ける
気をつけなければならないのが、心無い言葉が人の夢を押しつぶしてしまうことがあるということ。逆に正しい言葉は追い風になる。
人の夢を壊すのではなく、支える人になろう。それが少々無謀なものに思えたとしてもいいではないか。人が夢見ることを否定する権利は誰にも無いのだから。

P75 チームを第一に
部下の育成に長けたリーダーはチームを第一に考える。
自分のチームへの貢献を知るために次の問いについて考えて見て欲しい。
・他人に価値をもたらしているか
・組織に価値をもたらしているか
・チームの成功を優先するために自分の手柄を犠牲にできるか
・常に新しいメンバーをチームに招き入れているか
・能力が十分ではない『ベンチプレイヤー』を活用しているか
・メンバーに大きな裁量権を与えているか
・ひとりのスターを生み出すことよりもチームの勝利を優先しているか

P76 部下に力を発揮させる
・格別に有能でなくても、聡明でなくてもリーダーになれる。
・リーダーとは『部下に力を発揮させることができる者』だからだ
・人の能力を高めることがリーダーの最大の仕事だ

P102 失敗は成功の踏み台である
 失敗を恐れない。失敗・ミス(MISTAKES)は、
・(Message:教訓)フィードバックを与えてくれる
・(Interruption;中断)反省と考察の機会を与えてくれる
・(Signpost:道標)進むべき道を教えてくれる
・(Test:試練)成熟した人間になる機会を与えてくれる
・(Awakening:気づき)勝利のための気づきを与えてくれる
・(Key:鍵)チャンスの扉を開ける鍵を与えてくれる
・(Exploration:探索)未知の領域へと向かわせてくれる
・(Statement:宣言)成長と進歩への誓いとなる

P104 前のめりに転ぶ
・成功者はネガティブな経験に前のめりに転ぶようにしている
・前のめりに転ぶとは、失敗した時に、責任をとる、失敗する度に何かを学ぶ、失敗は進歩の一部であることを理解している、前向きな態度を維持する、従来の考え方を問いなおす、新たなリスクに挑む、挑戦を続ける

P119 学ぶ準備はできているか
・人のアイディアを受け入れられる
・話すことよりも聞くことに時間をかけている
・新たな情報に基づいて意見を変えることをためらわない
・間違いを素直に認められる
・行動する前に状況を見極められる
・よく質問している
・無知をさらけ出すような質問もできる
・新たな方法を進んで試している
・人に指示を仰ぐことをいとわない
・批判されたとき、弁解をせず、素直に耳を傾けようとしている

P130 失敗から立ち上がる
・人は多くの失敗を経験するほど、失敗が少ない人よりも成功しやすくなる。打ちのめされない限り、失敗はあなたの力を養う場になるのである。

P131 問題解決能力はリーダーシップの要
・部下が能力を発揮できない理由
1.何を期待されているかがわかっていない
2.取り組み方を知らない
3.取り組む理由を理解していない
4.自力ではどうしようもないと感じる障壁に直面している
これらは全てリーダーに責任がある。3番目までの理由は仕事を正しく理解することで、対処できる。例えば研修を受けさせたり、業務指示書を明確にしたり、コミュニケーション能力を高めたりすることが、有用。
誰もが嫌がる問題に取り組み、問題を解決できる人は何よりも必要とされる。

P138. リーダーシップの確信
・威圧的な態度をやめ、部下の話を聞く
・昇進のためのゲームをやめ、自分にマイナスになる可能性があっても、他人の利益を優先して行動する
・自分のやり方を押し付けるのではなく、相手にとってベストな方法を採用する
リーダーは部下のために尽くす人でなければならない

P147 成し遂げる人の心構え
・何かを達成できる人は置かれた状況や直面する問題を苦にしない。
・失敗や逆境の捉え方による。心構えほど、目的を達成する能力に大きな影響を与えるものはない。

P162 信頼を築く
 信頼は「リーダーと部下を結びつける接着剤」。
 信頼(TRUST)は、
・(Time:時間)部下の話を聞くことと、部下の仕事について意見を述べることに時間をかける
・(Respect:敬意)敬意を持って部下に接する。そうすれば、部下を「信頼」で応えてくれる
・(Unconditional:無条件)自分の利益ではなく、相手のことを第一に考えて行動する
・(Sensitivity:感受性)部下が何を感じ、求めているかを察知する
・(Touch:肉体的接触)握手をしたり、肩を軽く叩いたりして、相手への親愛を表す